大手マスコミ各社は9月6日付けでいっせいに「ドコモからiPhone販売開始」と報じており、これで国内主要キャリア全てがiPhoneを取り扱う事になりそうです。
その後ドコモが出したテンプレートな公式見解も、逆に報道の信憑性を高めているように思えます。
さてiPhoneを待ち望んでいたドコモユーザーにとってはまさに待望の瞬間となるのでしょうが、モバイル業界において具体的にどういった影響があるのでしょうか?
国内メーカーとAndroidアプリ開発者の今後
ドコモからiPhoneが出る事により最も影響を強く受けるのは、国内のAndroidスマホメーカーでしょう。既に撤退ムードが漂いチキンレースの様相を呈してきた国内携帯メーカー業界ですが、今回の報道によりその流れが加速するのは火を見るよりも明らか。
そんな中で今後も国内でなんとか生き残る事が出来るそうなのはサムスン、ソニーモバイル、そしてらくらくスマホの富士通ぐらいでしょうか。ガラケー全盛期から比べると随分寂しくなりそうですね。
またiOSのシェアが増える事により必然的にAndroidのシェアが減るわけですが、次に影響を受けるのは国内Android向けのアプリ開発者でしょう。資金力のある大手企業なら単純にiOS向けの開発に比重を上げる事で対処できますが、個人開発者にとっては恐らく即死レベルの影響が出るでしょう。また海外のAndroid開発者にとっても日本は「シェアの低い魅力の無い市場」という見方が出てくれば、有名アプリの日本語ローカライズが進まないという可能性も。Androidユーザーには好ましくない状況が予想されます。
Apple「偽りの」秘密主義の露呈
新製品情報に関して徹底的な情報統制を行っているとされてきたAppleですが、ここにきてその方針に疑問符が。次期iPhoneとされるiPhone 5S 及びiPhone 5C の情報は普段以上にただ漏れ。加えて今回の「ドコモからiPhone」報道。新聞各社がほぼ同時間に報じている事からドコモ広報がリークしているのは間違いなく、現時点でその事に対するAppleからのNDA違反のペナルティも無い模様。
この事からAppleは情報リークに関して一定のルールを設けながらも、基本的に野放し状態になりつつある事が推測されます。確かにリーク情報が相次げば、広告費0で世間の耳目を集め続ける事が出来ますし。ただあまりにも頻度が多過ぎて以前のようなワクワク感が薄れてしまっている事も事実。今後もこのようなマーケティングが続くようであれば、Appleの神通力も怪しいかもしれません。
ドコモ自身への影響
今回のドコモの大英断の背景には、やはり不振が続く同社の台所事情がある事は想像に難くありません。しかし残念な事に、実際に販売が開始されれば購入するのは既存のドコモユーザーがほとんどでしょう。そもそもMNPを利用する層は全体の3%程度と言われており、劇的に契約者数が増える事がないのは過去のauの導入時を考えれば明らかです。
加えてiPhoneの取り扱いにおいて先行するソフトバンクやauの価格帯に合わせる必要があり、ドコモが取り扱ってきたAndroidスマートフォンと比較して高額な購入補助金を負担する必要が出てきます。
つまりドコモにとってのiPhoneはMNPの流出を止める絆創膏にはなり得るが、キャッシュフローを改善する薬にはなり得ないわけです。それを知りつつもiPhoneの導入を決意したドコモは、我々が想像する以上に切羽詰まった経営状態にあるのかもしれません。
我々ユーザーへの影響は
こうやってドコモのiPhone導入による影響を眺めていると、泣く人・笑う人様々ですが(Apple以外ほとんど泣いてる様な気もしますが)いずれにしてもiPhoneユーザーにとって歓迎すべき展開となるでしょう。
価格・サービス・エリア品質の競合が発生して苦しい戦いとなるという見方もありますが、この不況下にありながら国内携帯キャリアは数兆円の利益を叩き出す企業ばかり。特に利用料金についてまだまだ下げしろはあるんじゃないかと個人的は踏んでおります。
一方で上記で述べたように「iPhone以外」のスマホを使うユーザーにとっては受難の時代の幕開けとなるかもしれません。各社が経営資源をiPhoneに集中させれば、Androidを初めとするその他のプロダクトについては手薄になる事は自明の理なわけです。
Androidユーザーの方々も、いっそドコモが起こしたこのビックウェーブに乗ってみるのも悪くないかもしれませんよ。
番外編:日○新聞社への影響
出そうで出ない事に意味があったわけで、実際に出てしまうとバイラル効果はこれ以上期待できませんね。お疲れ様でした!
Andoroid陣営が手薄になってなくなってもいいんじゃない、自然淘汰でしょ。操作感でもバクリ技術は本家超えられないし・・