
(写真:AP通信)
愛用者には残念な事ですが、プリペイド携帯はこの世から消えゆく物となるでしょう。
今年の1月25日にフィリピンのマニラ首都圏マカティ市内において路線バスが爆発される事件が起き、死者5名・負傷者は20名以上と大惨事となりました。
座席の下から爆発物の一部が見つかった事により、フィリピン当局はテロリストによる犯行であるという声明を出しました。そして爆弾の起爆装置に、プリベイド携帯が使われていたと伝えています。
フィリピン政府は今回の事件を受け、SIMカード契約を銀行引き落としや請求書の郵送による支払いを伴う契約への切り替えを促すと共に、現在既に使われているプリベイド携帯のSIMカード契約の身分証明を含めたID登録を進める事を決定しました。
しかしフィリピンではSIMカード契約の実に97%にあたる7,500万回線がプリペイド携帯である事、また販売業者自体が契約の手軽さや即現金を入手出来るこの方式を止めるつもりが無い事により、この政府方針は難航するであろうと言われています。
なぜプリペイド携帯と犯罪行為の親和性が高いのか
くしくもフィリピンの路線バス爆破事件が起きた4日後にロシアのモスクワにあるドモジェドボ国際空港で自爆テロ事件が起きましたが、この際に使用された爆破装置も、携帯電話による遠隔操作で作動した可能性があると伝えられています。
また日本でも振り込め詐欺や覚せい剤取引にプリペイド携帯が使われる事例が多く、社会問題にまで発展した事は記憶に新しい所です。
ではなぜ、この前払いSIMカード契約が犯罪の温床となるのでしょうか。
理由は簡単。契約者の身分が特定されにくいからです。
日本でもプリペイド携帯が登場した当初は、契約に本人確認が必要ありませんでした。2004年より本人確認が義務付けられた事により一定の抑止力にはなったようですが、根本的な問題は解決していません。それは携帯キャリアと継続的な契約を必要としない点にあります。
あまり詳しく書くと犯罪教唆になりかねいので避けますが、犯罪者が本人と紐付かない契約のSIMカードを手に入れる事はさほど難しくないと断定できます。
NTTドコモは既にプリペイド携帯の販売を中止しましたが、ソフトバンクやauは規模が小さいながらも販売を続けています。もちろんプリペイド携帯自体が悪いわけではありませんが、前述のフィリピンの例から考えてもその販売方法は世界的な規模で規制されていくと考えられます。
人々の生活を便利で豊かにする為のガジェットが、このような非人道的な目的に使用されるのは悲しいですね。
参考記事:CNET asia