世界経済は今、アメリカの国債の格付け引き下げやEUのユーロ安に端を発した金融不安により、リーマンショック以来の世界的な不景気が懸念されています。そんな中でも携帯電話マーケットは大きな成長を続けており、 特にスマートフォンの需要は年々増加の傾向にあるようです。
当然人々のスマートフォンへの興味も高まっているようで、それに比例するかのようにマーケティング会社が行うたくさんの調査・アンケート結果を皆さんも頻繁に目にする事と思います。
大半が「Apple大躍進」もしくは「Androidついに首位を奪取」といった記事と共に紹介される事が多いこれらのデータですが、実は共通する傾向があります。
Appleやサムスン、HTCやソニーエリクソンといった常に名前の挙がる主要メーカー以外は全て「その他のメーカー」とまとめてカテゴライズされているという点です。
近年、この「その他のメーカー」群のシェアが大きくゲインしており、マーケティング会社としても無視出来ない存在になりつつあるというのです。
この表舞台にほとんど出る事が無い「正体不明の一大勢力」とは一体何者なのでしょうか?
ガートナーによると、これらのメーカー群は大きく3つのグルーブに分けられると説明されています。
町の小さな工場
法人格から個人商店まで多様な規模と経営方針が存在するこれらのグループは、その膨大な数から実態を掴むのが困難だと言われています。山塞品(FAKE品)のような粗悪品を作る業者も多いようですが、中にはベンチャー気質に富んだ優良な会社もたくさんあるようです。
比較的規模の小さい携帯電話メーカー
主に中国やインドに多いとされるこのグループだけで年間3,000万台の携帯電話を製造していると言われており、価格面から新興国では大きなニーズがあるようです。
HTCやLGの座を虎視眈々と狙う、新進気鋭のメーカー
Huawei、ZTE、アルカテル、konka等のメーカーがこのグルーブにカテゴライズされます。またインドのMicroMaxはグローバル企業の比較ではその名前を聞きませんが、インド国内向けだけで年間数百万台の携帯電話を製造しており、隠れた中堅メーカーと言えそうです。
これらのメーカーは市場相場より安価な製品の製造と多彩なラインナップを特徴としており、常にトップ10メーカーを狙っているとされています。
これらのメーカー群はグルーブ内では互いにせめぎ合いながらも、グループ全体としては大きな成長を続けています。ガートナーによると、2004年から売上・シェアを拡大してきており、近年ではノキアやRIMのシェアを奪う形で急成長しているそうです。StrategyAnalyticsの調査によると、直近のシェアは約36%、販売台数は年間4.5億台に達しているというのですから、その規模にはただ驚かされるばかりです。
Appleが切り開き、Googleが裾野を広げたスマートフォンやタブレットの需要は今後も世界的な規模で高まっていくと見られ、中小メーカーにとっては大きなチャンスだと言えるでしょう。
近い内に第二のHTCやLG、ひょっとするとAppleをも脅かすメーカーがこれらの「その他のメーカー」群から現れるかもしれませんね。
(via:Cult of Mac)