そりゃGoogleも必死になるはずだよ。
9to5Macは、Wolfram Alphaの検索クエリの25%がSiri経由のトラフィックで占められていると述べています。
このWolfram Alpfaとは、Wolfram Resarch社が提供するWebサービス。
事実についての質問に対して構造化されたデータを使って計算し直接答えを返す、いわゆるナレッジエンジン型サービスです。(一部日本語もサポート)
AppleとWolfram Reseach社の関係は古く、Appleの音声コントロール技術のSiriは、このWolfram Alpfaのナレッジエンジンがベースになっている事はよく知られています。(実はMicrosoftもライセンス提供を受けている)
SiriとWolfram Alphaとのコラボレーションは、まずGoogleを中心とした検索事業そのものに影響を及ぼします。
Google検索は、検索結果を広告を含むテキストページで表示します。言わば一連のトラフィックの間にGoogleが入り込む事で広告収入を得ているわけです。しかしSiriでWolfram Alphaのナレッジエンジンを利用した場合、直接回答を表示する為にGoogle検索よりも少ないステップで目的地に到着する事が出来ます。
iPhone 4Sが発売されて4ヶ月足らずで、Wolfram Alphaのクエリが激増したという事は、本来Googleの検索結果ページに行くべきトラフィックがWolfram Alphaに流入していると考える事が出来ます。
またWolfram Alphaは米小売大手のベストバイのAPIと連携しており、Siriを通じて商品検索した場合はベストバイのサイトの検索結果が表示されます。これはAmazon等のeコマース大手のトラフィックの流れがSiriによって変わる可能性を示唆しています。
iPhoneの「Siri」で商品検索 - WolframAlphaがベストバイのAPIに対応
アップル的な解決方法
以前、Appleが検索事業に興味を示しているといった報道がなされた事がありました。
そこには現在の検索サービスに対するAppleなりの不満があったと考えられますが、結果的にAppleはSiriというデバイスの機能を一種のプラットフォームに見立てる事でトラフィックを制御するという、実にAppleらしい解決方法を提示し始めました。
iPhoneの天井知らずの人気を考えると、今後AppleがSiriをどのように運用するのかは、検索事業やeコマース事業に携わる企業にとって重要な意味を持つ事になるのでしょう。
モバイルインターネット分野のみならず、それに関連するWebサービス全体がiPhoneという黒船によって潮目を迎えているのかもしれませんね。