町を歩くと、携帯電話ショップには「キャッシュバック最大○万円!」「当店は他社の違約金を全て負担します!」といったポップが大きく張り出されています。
一般的に他社からのMNP時に高額な商品券を渡すケースが多いようですが、一部の機種においては本来分割で支払う端末代金を無料にするパターンもあるようです。
一見ユーザーにとっておいしい話のように思えますが、実はそんなに単純な物ではないのです。
キャッシュバック金額の原資はどこから?
まずはっきりさせないといけないのは、高額キャッシュバックは携帯ショップの持ち出しではなく、携帯キャリアの「販売促進費」なる項目から「販売店報奨金」へと姿を変えて支払われているという点です。
この販売促進費の原資は、当然ながら我々が月々支払っている基本料金や通話料金から成り立っています。つまり、我々は知らない内にキャッシュバック金額を負担させらているわけです。
MNP利用者は全体の契約者数の約3%程度と言われており、これは2012年も大きく変わらないと見られております。つまり3%のMNP利用者(転売業者を含む)の為に残り97%はせっせとキャッシュバックの原資をお布施していると。
5万円のキャッシュバックが支払われる毎に、33人の無関係な携帯ユーザーが一人あたり1,500円の肩代わりをさせられるという図式。この現状を揶揄してか、転売者の一部では長期利用ユーザーを自分達の「養分」と呼んでいるのだそうです。
これはあくまでもMNPキャッシュバックに限った話ですが、これ以外にも新規契約を狙ったタダ同然の端末のバラマキにも販売促進費は利用されており、一般ユーザーが他人のキャンペーンの為に支払う金額はもっと高いと推測されます。
利用者にとって、果たしてこれが公平であると言えるのでしょうか?
他人のキャンペーンの為の不当な支払いに断固反対です
MNPの踏み台とされたソフトバンクや日本通信は、解約金を設ける事でキャッシュバックの為だけの不当な契約を除外する対策し始める等、少しずつ問題意識は広まりつつあるようです。
キャリア間の移動が容易になり業界の活性化に繋がるという点では、既存キャリアの違約金や端末の残債が処理出来る高額キャッシュバックも一定の功績はあるのでしょう。しかし現状では既存ユーザーに不当な負担を強いているという面で、その制度そのものに疑問符を付けざるを得ません。
MNP利用ユーザーと同一キャリアを長期利用するユーザーともに公平感のあるキャンペーンが開催されない限り、このような高額キャッシュバック施策については今後も全否定させて頂きます。