もしそれが最初から狙った物だったら、Appleという企業は本当に恐ろしい。
AppleInsiderによると、先日発売された新しいiPadの購入者の25%が、それが初めて購入したApple製品だったと伝えています。
この数字からApple製品の販売動向において、ある種の地殻変動を感じる事が出来ます。
Apple入門機の変移
iPhoneの登場でiPodの需要は限定的な物となった事は、先のAppleの決算発表が物語っています。
つまりApple初心者の入口とされてきたiPodは、その役割をiPhone、そしてiPadに譲り始めています。これは非常に興味深い現象です。
iPodのターゲットは若者です。NIKE+とのサポート連携によりターゲット世代の底上げを図った形跡はありますが、Appleが需要の中心と考えているのは10~20代の若者である事は今も昔も変わりません。
一方でiPadは若者はもちろん、ビジネスマンや主婦、子供やお年寄りまでと全世代がターゲットとなっている事実があります。これはiPhoneよりも幅が広いと見て間違いないでしょう。(現にパソコンも携帯も持っていない人がiPadからインターネットを始めたという例を、私はいくつも知っています。)
またApple製品の特徴として、App Storeというユーザーを直接サポートする実店舗が各地にあるという物があります。実店舗で相談できるというメリットはインターネットを始めたばかりの人にとって、我々の想像以上にメリットを感じる存在となるはずです。DELLストアやWindowsストアは街にはありませんから。
iPadという扉をくぐって初めてインターネットに触れた人が、その魅力に強く取り憑かれた時。ビューワーとしてのデバイスから積極的にアウトプット出来るワンランク上のデバイスを必要とした時。
そんな時にiPadで初めてインターネットに触れたユーザーがMacを求める確率は、一般的なユーザーよりも高い物になるであろう事は想像に難くありません。
iOS5でAppleが本当に望んでいた事
iOS5よりiPad本体でのアクティベーションやiCloudへのバックアップが可能となった事に対して「母艦PCへの依存が減り、Macシリーズの需要も比例して減少するのではないか?」との懸念も当初はありました。
しかしその変更は、結果的にApple製品への入口を広げ、新たなMac予備軍の数を増やす事に成功したと言えそうです。
iOS5における仕様変更決定時にそのような深謀遠慮が働いていたかは分かりませんが、もしそれを意図した物であったならちょっと並みの企業では太刀打ち出来そうにありません。
Appleに関するニュースはiPhoneやiPadの記録的な販売台数にフォーカスされがちですが、Macシリーズの販売動向もこういった背景を考えながらウォッチすると、また面白いかもしれませんね。